Kay Music Academy

〜子供から大人のためのピアノとチェンバロレッスン〜

練習ノート その1【小3・T君】 ゴールはドラエモンの腹巻!

皆様こんにちは。植山です。

いよいよ、桜が開花し来週頃に満開ということで、今からウキウキしています。

今月末にヴァイオリンのコンクールを受ける小学2年生のT君は、とても才能あふれるヴァイオリニストです。

しかし、感覚で演奏していることが多い為、「音程が取れない、リズムがわからない」ということで、ソルフェージュのレッスンを約1年前よりしています。

とても気まぐれで、寝っこりながら「ヴァイオリニストになりたーい」と家で言っているようですが、寝てたらなれないよ^_^と、ムラのある練習をどうにか楽しくできないか?と思い、「練習すごろく」を始めました。以前にもご紹介しましたが、ルールは簡単です。練習したら1コマ進む。さぼったら3コマ戻る。

 

T君が練習日記と一緒に、自分で作った【ドラエモンの練習帳】を見せてくれました。

何と、ゴールは【腹巻】!!ドラエモンは、腹巻が欲しいとは知りませんでした。

 

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この練習帳のお蔭で、T君は毎日欠かさず1時間練習をしています。
レッスンに来た日は朝の練習をして、まだ夜の練習をしていないので、半分だけ塗りつぶしてありました。

 

T君は、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲を練習中。
ピアノとの伴奏合わせにも慣れ、暗譜で人前で弾くのも大丈夫そうですが、最後まで音程やリズムは油断ができません。

【効果的な練習】

本番前だからこそ、初心に戻ってゆっくりなテンポで1音1音大事に弾く。

特に装飾音や16分音符など、早い音符は大きなホールで演奏すると聞こえにくい為、はっきりと、口で歌いながら練習すると効果的です。

他のピアノ&チェンバロのレッスンでも、メロデイーを歌いながら弾いたり、左手を弾いて右手を歌ったりします。
それができなければ、きちんと各声部を聞こえていないということです。

大人のチェンバロレッスンでも、3声など複雑な曲は、バスや内声をよく聞くために、バスを下鍵盤で弾き、内声を上鍵盤で弾いてみたりします。

すると、耳の中で声部が分かれて良く聞こえてきます。弾いている本人が聞こえなければ、誰にも聞こえないのです。

また、通す練習ばかりしていると、細かい部分が雑になります。

本番前は通す練習も大事なので、1日1回は通した方が良いですが、その時にきちんと自分の弱い部分、苦手な部分を把握することが重要です。

通した後に、それらの箇所を丁寧にゆっくり練習することで、本番は気持ちよくテンポ通りに演奏できます。お子さんの場合は、辛抱強い練習が苦手なことが多いので、レッスンで一緒に細かく練習していきます。その重要さを認識すれば、少しずつ自分でも質の良い練習をしていきます。

5分でも、1か所を丁寧に練習する方が効果的に上達することができます。

 

【ハーモニー・和音】

横の流れのメロディーだけでなく、同時に和声(ハーモニー)がよく理解できているかも、とても重要です。
ハーモニーが分かっていないで、ただ速く弾いていても、綺麗に音は響かないのです。

不思議や不思議!ハーモニーは音楽の大黒柱なのです。これは、バロック、クラシック、ジャズ、ポピュラーも全て同じです。

 

ドミソ、ソシレの和音が頭の中で鳴っていて、その中でメロデイーを弾くと、まとまりが良くきれいに響き合います。

これは、小学生から大人の方まで、一貫して重要なポイントです。

T君は、本格的に音楽家になる道へ進む為、早くからハーモニーにも慣れ親しんでいた方が良いと思いました。

例えば、レッスンでは8小節のメロデイーを、何の和音で組み立てられているのかを分析していきます。

ドミソは赤ソシレは青など和音を色分けしていきます。

すると、とても興味を示し、【音楽はこうやってできているの?】と目を輝かせています。
これは、凄い!と思いました。なかなか、小学生で和声に興味を持つ子は少ないからです。

そして、T君の弾いているヴァイオリンの練習曲、モーツァルトなども、全てこの【ハーモニー】が家の木組みの様になっていて、
綺麗なメロデイーなどが飾られていると説明すると、面白がっている様子。

和音が頭の中で鳴ってくると、その和声の音が出てくるメロディーを弾く時にも、音程が取れ始めます。ヴァイオリンは、ピアノの様に調律されておらず、弾く瞬間に自分で音を作る、音程を取らないといけないので、とても難しいのです

また、音程も勉強をし、ソーファ# 短2度(狭い2度)、 と、ソーファ-ソ 長2度(広い2度)の違いを理解することで、音程も改善されてきました。

聴音もやってみると、すぐに3和音(ドミソやドファラ、それらの展開形)もすぐに鍵盤を見ないで聞き取れることが分かり、【耳は良い】のです。

では、なぜ音程が悪かったのか。
リズムが数えれなかったのか

それは、単純に知らなかっただけなのです

 

【才能とは?】

T君の中には、これから広がっていく大きな才能を感じます。
本番にも強く、いつも以上に力を発揮できる度胸があります。

そして、根本的に音楽がとても好きで、興味があるということ

 

もし、本人が音楽を好きでないなら、辞めても良いと思います。しかし、本人が興味があるならば、私は精一杯のことをしたいと思います。

何故なら、私自身も厳しい音楽教育を体験し、今になって実感する役立つこと、近道できることが沢山あるからです。

 

ここに着目し、T君の興味を伸ばしながら、ヴァイオリンも上手になる様に考えてレッスンしています。
もしかしたら、違う先生から見たら、怒る要素も沢山あるかもしれません。

しかし、怒って伸びる部分と、伸びない部分があると思います。

 

T君の中に眠っている、まだ本人も知らない潜在意識の中の可能性が出た時、きっと誰も思いもよらない素敵なことが起きるかもしれません。

その可能性を信じて、一歩一歩地道に練習、レッスンをしていくことで、気が付くと大きな前進になっているかもしれません。

 

結果は勝手についてきます。ある日、ポンと【今まで頑張って良かったね】ということが起きたりするのです。何も期待しない方が良いのです。

早い人は幼少の頃から、遅咲きの人は大人になってから結果は自然に出ます。

 

本当に音楽が好きならば、諦めずに続ければ、”昨日の自分より” 前進しているはずです。

人と比べても仕方がありません。そもそも、音楽は人と比較するために弾いているものではありません。

心や日々の生活、人生が豊かになる素晴らしいものです。

 

常に自分がより良く向上しているかということが重要です。

コンクールや演奏会などでも、自分のベストを尽くすことが最優先です。

 

【継続は力なり】と私の習った先生がおっしゃっていました。

人前で演奏し、上手くいく時もあれば、練習の成果が出ずに落ち込んだり、打ちのめされたり、そして、また歩み始める。

その繰り返しの中で、精神力も技術も少しずつ向上していきます。

 

私のパリの師匠は85才で、生涯を音楽と共に生きている姿をフランス中のチェンバリストが見守り、みんなに愛されている存在です。

その彼女を見て、私も一生勉強だと思います。音楽の学びに終わりはないかもしれませんね。

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