Kay Music Academy

〜子供から大人のためのピアノとチェンバロレッスン〜

2月17日バッハ公開講座 無事終了!

皆様、こんにちは。
第2回バッハ公開講座【イタリア協奏曲】へ、わざわざ遠い愛知県や東京各地より、お越し頂き、誠にありがとうございました。

bach march

小学生のピアノ生徒様~大人のピアノ生徒様、チェンバリストの方までお越し頂き、色々な観点よりピアノとチェンバロでどの様にバッハを弾くかという内容で説明・実演をさせて頂きました。

ピアノのレッスンでは、普段説明をする時間がなかなか無い、【チェンバロからピアノまでの楽器の発展】や、それに伴い【どの様に奏法が変化していったのか】、また【楽器の機能の違いからテクニックがどの様に異なるのか】、『イタリア協奏曲』を例に取り上げ、実演させて頂きました。

私自身が、同じ【イタリア協奏曲】を目の前にしても、ピアノで弾く場合、そしてチェンバロで弾く場合では、出てくるアイディアが異なります。
それは、ピアノ・チェンバがより美しく響く方法がそれぞれ異なるからです。

一言で説明するならば、チェンバロは【語る】、ピアノは【歌う】奏法が必要となります。

チェンバロで【語る】為には、指先のアーティキュレーションが、大変重要となります。
演説する政治家や演劇の俳優の様に、はっきりと発音をする為には、言葉の前後に小さな『間 silence』を入れたり、発音を明確にしなければ、多くの方や遠くへ伝わりません。

ピアノで【歌う】為には、指だけでなく、手の甲、手首、腕を脱力することにより、自然なレガートで演奏する事が多くなります。

昨日は、実際にチェンバロタッチでピアノを弾いた場合を実演し、細かいアーテイキュレーションでピアノを弾くと、細切れに聞こえてしまい、ピアノには相応しくありませんでした。その為、よりピアノに適した奏法で弾き、聞き比べていただきました。

また、ピアノでペダルを沢山使用し、全てレガートで弾いた場合は、全てが平らに聞こえてしまい、だらしない印象になります。
そこで、イタリア協奏曲をチェンバロで演奏した場合の【アーテイキュレーション】をはっきりとした奏法や、バスの低音をオーケストラのチェロをイメージした場合の切りめのバスラインなどを、ピアノ演奏にも取り入れて演奏しました。

チェンバロやバッハのオーケストラ曲をイメージして、ピアノで演奏すると、より生き生きとしてきます。

上記のように、ピアノとチェンバロの違い。
また、チェンバロを知ることで、どの様にピアノ演奏にも生かせるのか。
を実演させて頂きました。
装飾音や歌い方においても、ピアノではあまり極端なことをすることは少ないのですが、チェンバロ主流のバロック時代では、即興演奏はごく普通に行われていました。

【イタリア協奏曲】第2楽章の様に、バスラインはテンポ通り弾いて、右手のメロディーはイタリアのアリアの歌手のように自由に旋律を歌う事も、チェンバリストの方がピアニストよりも自由に表現していると思います。それは、ピアノレッスンでは、その様な自由が歴史的背景からも許されるということを知らない為、拍どおりに真面目に弾く傾向になっているのではないかと思います。

バスと常に拍が常に合っていなくても、きちんとフレーズの始めや最後、カデンツァなどの重要な場所が一致していれば、自由に歌って良いスタイルです。それは、まるで通奏低音者のチェロやチェンバロと、歌手のアンサンブルと同じで、バスラインがメロデイーを束縛することはありません。

歌手が時間を取ったり、先へ進んでも、一定のバスが常に『軸』となってぶれない範囲であれば、自由にメロデイーを歌ったほうが、美しく聞こえます。

bach march2

一般にピアノでバッハを習う時は、【バッハだから真面目に】とか【スタイルに沿って】と堅苦しい印象があると思います。
しかし、よくよくバッハの楽譜を見てみると、多くのウィットに富んだアイデイアが散りばめられており、その秘密を読み説いていくのは、演奏者自身です。

演奏者の観点『バッハ=真面目』→聞き手 バッハ=真面目な印象
演奏者の観点『バッハ=色々なアィデアの宝庫』→聞き手 バッハ=新しい発見

となるかも知れません。
同じ楽譜を楽しく、退屈に、そしてピアノ、チェンバロで演奏するのも演奏者の自由です。

楽譜にフォルテ(強い)・ピアノ(弱い)と記載されていなくても、和声進行を分析していくと、緊張感のある属七や5度のドミナントの和音の部分や、同じ和声進行が繰り返されているゼクエンツ、解決したときの安堵感など、十分に色とりどりのカラーがあります。
それを感じれるようになれば、チェンバロやピアノ他の楽器でも演奏がより深くなり、説得力が出てきます。
3月以降は、公開レッスン形式で実際に演奏をして頂く生徒様を募集させて頂きます。
3月31日(日)14時~【イタリア協奏曲】実践編や4月以降から始まる【インベンション】シリーズで演奏をなさりたい方は、是非奮ってご応募下さいませ。

今後も、皆様と一緒にチェンバロとピアノ体験をできる場を企画していきたいと思います。

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