年末に、大掃除をしていたら、小学生の頃に書いていた“練習日記”が出てきました。
不器用な小学生の文字で、練習した時間が書いてあります。
私が小学校1年生―3年生の、一番練習が苦手な頃は、毎日母が5時の鐘が鳴るとピアノの横に座って待っていました。
外でどろんこ遊びをしていても、自転車に乗って友達を楽しく遊んでいても、
『♪カラスが鳴いたら、帰りましょう~~~♪』
と聞こえると、全速力で家に帰るのです。
子供心にも、毎週1回のとても厳しいピアノレッスン、練習をしないと怒られるので何度も大泣きした記憶がします。 そして、凍てつくような緊張感が流れます。子供でも分かるのです。
ピアノレッスン中には先生に言われたことをメモしている母の姿、そして家でも毎日5時にピアノの練習がお約束でした。
今思うと、持続するということが難しい子供の時期に、カラスの歌=ピアノの練習を毎日続けることによって、『一生の習慣』となったのかもしれません。 それは、とても大事なことだと思います。
毎日の歯磨きと一緒です。
三日坊主の私が、30年以上続けてこられたのは、低学年の頃に練習する環境を整えてくれたことが大きいと思います。そして、小1で15分しか持たなかった練習も、中3の時には8時間練習する集中力が身に付きました。
練習の習慣が低学年に身に付くと、高学年以降は自分の判断、ピアノのレッスン、発表会や演奏する場で多くのことを学び、自己判断で練習したほうが良いという結論になります。
何よりも、大きな失敗を本番ですると、〈心の油断は禁持〉〈高慢になると、すぐに鼻を折られる〉〈練習のみが自信をつける〉など、自然に学び、より自分の能力を舞台で発揮するには、やはり地道な努力しかないという結論に至ります。
5歳のモーツァルト。父・レオポルド、姉・ナネット。幼少から演奏・作曲をしていたモーツァルトはどの様な英才教育だったのでしょうか。
では、どの様に生徒さんに練習するよう導くのか。 これは、大きな課題です。
よくお母様から、〈練習をしないのですが、どうしたら良いのでしょう?〉とご相談を頂きます。
私は怒鳴ったり、〈練習しなくてはダメ!〉と言う変わりに、 【どの様にすれば、自発的に練習をするのか?】 【一人一人の個性に合わせて、どの様に音楽への興味を引き出せるか?】 【音楽の楽しさをどの様に感じてもらえるのか?】
叱って効果がある場合もあるでしょう。 しかし、長期間で見た場合、押さえつけられた環境で嫌々する、言われたからやる。というのは本当に上達するでしょうか?
【音】は、とても正直です。上から圧力をかけられて弾いている【音】と、自分の内面から弾きたい!と思っている【音】は、大きく異なります。
子供、大人を問わず、音楽は【新たな自分を発見】ができるものです。 先週弾けなかったことができる様になった・・・ 1年前は理解できなかったバッハの深い側面が感じ取れるようになった・・・
など、何でもよいのです。
変化していくことが、前進しているということではないでしょうか。
お子様で練習が苦手な方には、【練習日記】をおすすめしています。 これは、私自身が実際に行った経験から、続けることで練習に対する関心が高まっていくと実感したからです。
また、自由にお絵かきや学校であったこと、誰~ちゃんと遊んだなど書いて貰って良いのです。毎日続けることが、とても大事なのです。 そして、少しずつ意識が変わり始めます。
小2の男の子で、ソルフェージュを習いに来ているヴァイオリンの男の子がいます。本番に強くすでにコンクールで入賞を果たし、再びコンクールへ向けて、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲を勉強中です。
レッスンでは、自分の演奏している曲の音階、アルペジオ(C-dur/ハ長調,G-dur/ト長調,D-dur/ニ長調)を弾いたり、和音の聞き取り、ヴァイオリンの音程をピアノと確認したりしています。 お母様から、『やる気の時は練習が続くけれど、数日練習しなくなってしまった・・・』とご相談がありました。
T君は感性がとても豊かで、新しいことに興味があります。 練習ノートをすでに始めて、少しずつ習慣となっていますが、より分かりやすく可視化した方が良いと思いました。
そこで、思いついたのは【練習すごろく】。
練習したら、青で1マス進む。
さぼったら、赤で3マス戻る。
『練習をさぼったら、3日下手になる』と昔から聞きますが、実際にこのすごろくをやってみると、さぼってしまった時に、こんなにも後退するの?と子供でも良くわかります。
1週間の中で、2日休んでしまったらマイナスになってしまうのです!
皆様も、是非お試しください。 1週間先などにシールを張って目標にすると、子供の興味が出てよいかと思います。